LIKE A CHOCOLATE
「あなたってズルい人ね」
「俺、ズルいんだよ」
後で冷静に考えれば、ズルいのはお互いさま。
もう会わないって言ったのにね。もう触れないって思ってたのにね。
あんなに泣いたのにね。お互い誘惑に弱いのね。
でもほら、こうして2人並んでたら、いつの間にか濃密な空気が流れ出して、
冷静に考えたら結局のところ、「こうなる」ための理由を作ったわけね。
でもそれを言葉にしてしまったらあまりに下衆い気がして、そうね、きっと何かのドラマの主人公とヒロイン気取りだから。
2人用じゃない、1人用のソファに2人向き合って重なって、
お互いの目を見つめ合えば、ねえ、普段はあんなにお喋りなのに不思議ね。
目を見てるだけで言葉なんていらないの。
magic in your eyes
ってこう言葉にしたらなんて陳腐なんだろうね。
でももしかしたら、なんだってそんなもんなのかもね。
「・・・がとろけちゃうと、もうダメなんだよ、おれもとろけちゃうんだよ」
なんて可愛いセリフをはくのあなた、って心の中で思ったら頭を撫でながらその口を塞ぐ。
ねえ、なんで粘膜と粘膜って重ね合うだけでこんなに気持ち良いの。
このまま溶けてなくなりそう
中学生みたいなセリフを吐息まじりに呟きながら、
ああ、LIKE A CHOCOLATEってタイトルの絵を描こうって頭の隅で考えてたわたし。
Like a chocolate,and you too.