いつものあそこでピックアップしてよ/パズル
いつものあそこでピックアップしてよ。
食べ過ぎた重い体を少しでも軽くしたくて環七を歩く。いつものあそこを通り過ぎるとハザードランプをつけたあの車を思い出す。
国道沿いの閉まった店のシャッターとその上に書かれたグラフィティと、妙に明るさを放つファミリーレストラン、建物の隙間から吹く少し冷たい風と、バイク屋さんの職人のような佇まい、古ぼけたスーパーはイオン系列に変わってた。
世田谷線の踏切を越えて、ドラムンベースが鳴り響いて夜の湿った空気に浮くよ、浮き上がるよ。なんつってな。
こんだけ爆音でいつも聴いてたら私の耳は難聴気味だ。
十字路を曲がったらうどん屋の出汁の匂い、照明を落としたガススタンド、ぽつんと明るいランドリーでサイドをこざっぱりと刈った小柄で可愛いヒゲの男の子がいた。部屋に洗濯機ないのかな。なんかかわいいな、とか。
気付いたら三軒茶屋まで来ていました。
思い出をちぎってつないでパズルみたいに組み合わせてけば忘れてた記憶もよみがえる、けれどピースはいつも穴食いなのさ。
いつものあそこでピックアップしてよ。